「兄様、あのっ」
呼び掛けても無反応
足取りは心做しか徐々に速くなっていっている様で
…何か私は怒らせることをしてしまったのだろうか
兄様との距離を縮めようとすればするほど、
不安になって、どうしようもなくて
でも、呼び掛けないともっと怖くて
「にい「ルキア」
兄様に呼ばれ、いつの間にか俯いていた顔をあげて、
私は言葉を失くした
闇にそこだけ灯りが燈った様に、大きな桜の樹が満開であった
立ち尽くす私を其のままにして、兄様は桜の下に座って風呂敷包みをひろげはじめる
私もそそくさと兄様の隣に、少し空間を空けて座った
包みの中身は
「…お弁当ですか?」
「花見 には必要であろう」
折箱を私に手渡しながら、兄様は桜を見上げた
「…有難うございます、兄様」
折箱を受け取りながら
私は自分の胸を満たす感情を込めて
兄様と同じように桜を見上げて告げた
いつの間にか、兄様との間の空間はさっきより狭まっていて
先程までの不安な気持ちは桜の明るさにかき消されていった
周りの樹はもう葉を出しつつあるのに、日当たりの仕業か、その樹の気まぐれか、ひと足遅く咲く桜の樹があったりして、
そんな樹を見つけて少し嬉しくなったり、桜を愛でれるって本当に素敵なことだなぁと思って、
そんな素敵なことをやってもらいたいと此処で浮かぶのはやっぱり白ルキなのです(笑)。
今回は珍しく、兄様がこそこそと活発に(笑)動いていただきました。
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