杯を差し出した手を引かれ、たちまち義兄の腕に絡めとられてしまったことにルキアはたじろぐ

「―あっ…」

首もとを強く吸い上げられたことに、ルキアは一瞬身体を震わせた 次には
視界が傾き、ふわりと畳に押し付けられた


じわり じわり…と転がった杯から酒が零れゆく
畳の萌黄が滲んで、色が 深まる

「兄っ、様…っ」

白い絹肌は紅に染まり、潤む瞳は酒の仕業か 或いは
その揺らめきに、白哉は内に熱く込上げてくるものを感じる


酒よりも、快楽に酔ったふたりの唇が近づけば

ルキアのちいさな手が白哉の黒髪をあまく あまく 掴み

白哉の手はルキアの滑らかな腿を その感触を味わうように撫でる


「ルキア…」

今年も変わることなく、ふたりでこうしていられるようにと
そう 願いを込め、白哉は首もとに咲いた梅の花を愛おし気になぞった




ひ め は じ





姫始 <白ルキ>