「ルキアちゃんにちゃんと渡せたみたいだねぇ」
「白哉か?」
浮竹は徳利最中をかじりながら呟いた京楽にお茶を差し出した。
「良い趣味してるじゃあないの」
「ああ、朽木に良く似合っていた」
二人の脳裏には仏頂面の青年が浮かぶ。
二週間前、此処 雨乾堂で『朽木ルキア誕生日対策会議』が開かれたのだ。
対策会議といっても
「着物や調度品は、ルキアは恐縮してあまりすんなりと受け取らない。どうしたら良いものか」
と白哉が二人に尋ねた事から始まったのだった。
そこで『女性の事なら任せてちょうだい』な京楽と『うちの兄妹は皆 仲良しだぞ』な浮竹が助言をしたのである。
『豪華な物より、いつも身に付けていられるお洒落な小物の方が女の子は好きだ』
『さり気無く渡すと気を使われない』
『日常生活をよ〜く観察してみる』などなど…
「初々しい恋をみてるみたいだよねぇ…」
友人のうっとりした口調の言葉に、浮竹は苦笑いで答えた。
―間怠っこいのに微笑ましく感じるのは 俺も もう年なのかも―
*