ぱしゃん…と水音がした。

振り向き、よくよく探ってみればルキアの霊圧を感じる。

水音と霊圧に誘われ、白哉は脇道へ進んだ。


ルキアは居た。

…水の中に半身を浸して


僅かに濡れた襦袢が白い肌の色を映し出していた。


振り向く彼女の黒髪から雫が散って―白哉はその光景に暫し目を奪われた。


「…あ、え、兄様!?」
ばしゃん!!と大きな音をたて、ルキアは慌てて水の中に身を隠す。

「慌てずとも何も咎めておらぬ。もう昼だ、戻らぬか?」

「はい、上がります…しかし…その…」
真っ赤な顔だけ水上に出し、白哉を窺う。

「どうかしたのか?」
「向こうを…向いていて下さい」
「…?」
訳が解らないという表情の白哉に
「その…っ、恥ずかしいのです!襦袢が透けていて…っ」
とルキアは大声で告げた。



「何故、川の中に居た?」

新しい襦袢と水色が涼しげな紗の着物に着替え、手拭いで足を拭いていたルキアは気不味そうに白哉を見て、くすりと苦笑いした。


「最初は足を水に浸していたのですが、その…昔のように魚を捕ろうと思って、川の中へ…」

「捕れたか?」
「…駄目でした。腕が鈍ってしまっていて…」


「…懐かしいか?」
ぽつり、と白哉のから発された言葉にルキアは一瞬目を瞠り、目を伏せながら白哉の手に自分の手を重ねた。

清流に触れていた手は冷たかった。

「―意地の悪いことを聞いた」
沈黙を破るような白哉の言葉に、ルキアは返事の代わりに重ねていた手を握った。



じんわりと汗が滲み出してきても、その手は離すことも離されることも無く、二人は帰路についたのだった。









暑中お見舞い申し上げます。

暑い日が続いていますが、皆さん夏バテなどされない様、御自愛下さいね。



私の脳内では、兄様とルキアは避暑に出掛けられているので、お馬鹿話は少しお休みして別荘での様子を…と書いてみたのですが…

老夫婦って誰ですか?とか
ルキアは代えの襦袢を何故持っていたのか…とか
別荘って軽井沢的な所ではなくド田舎な感じなんですけど
などなど…色々おかしい所はあるのですが謝って済ましますすみません(逃)。

浅漬け 目次