…ポキ…ッ

一定のリズムを刻んでいたシャープペンの芯が折れて、一護は英文が並ぶ紙面から顔を上げた。

目だけを左、正面、斜め右へと動かすが、視界に入ってくるのは誰も居ないグラウンドと机に齧り付く様にして英語と戦う級友の姿。


そのまま右へと視線を移したが、隣の席の少女は既に最初からこの英語の試験の戦線から離脱していた。


『相性があるのだ 負け戦などしてどうする』

英語の試験前の休み時間―古文・漢文の試験終了後に席を立ちながら、もっとも気にそう言って、何処かへ行ってしまった。


確かに、アイツに英語は必要ない

―と言うか、高校に通うこと自体無意味だと言える

『死神代行』の自分と行動を共にしているだけであって…


……カチカチカチ…ッ、
「…」

気が付けば、シャープペンの芯の何本かが試験用紙の上に散らばっていた。






青空の下に寝転ぶのは、何と心地の良いことだろう

猫の様に全身を伸ばしながら、ルキアは目を細めた。

屋上は当たり前だけれど貸切だ。

こんな日に試験なんて、悲しすぎる。
古文・漢文なら未だしも、訳の解らない記号の文字に頭を使うなど真っ平御免だ。


それに―『死神』に英語とやらは必要ない。


真っ青な開放感を感じながらも、

…でも、どこか何かが抜けた感じが…


それは試験を放棄した罪悪感からくるものではなくて


「…早く終了時刻になれば良いのに…」

ばたばた と足をばたつかせても、時間はゆったりと流れる白い雲と同じだった。










春です恋の季節です青春の一ルキです(笑)。
一ルキという関係は『現世で時を重ねる人間』と『死神』の間での葛藤が少しでも絡んでくると思うのですが、
それを上手く表すことが出来なくて、私自身が葛藤です(…)。
読んで下さり有難うございます。

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