「今日は 帰り 遅くなると白哉に伝えておいてくれよ」
「わ、わかりました…」
通常隊務終了時刻を少し過ぎていたので、慌てて伝令神機でその旨を伝えると、一言「浮竹に替われ」と兄様に言われた。
浮竹隊長は兄様と幾らかやりとりをした後に「わかったわかった、大丈夫だ」と若干 諭すように言い、通信を切った。
「なるべく早く帰せ だとさ。心配性だなぁ白哉は」
と浮竹隊長は笑いながら ぽんっ と私の頭に触れた。
兄様のお気遣いに喜んでいいのか、こうやってこども扱いされた事に拗ねていいのか判らなくて、私は髪を押さえながらそっぽを向いた。
月を愛でる といった当初の目的は何処へいってしまったのか
小椿殿と清音殿は酒を交えながらの小競り合いに疲れて寝ている。
よって起きているのは私と隊長の二人。
しかし浮竹隊長も程よく酒が回っているらしい。
さっきからずっと「今、月で兎が跳ねたぞ」やら「あの月もこの団子の様に美味いんだろうか?」など、笑顔で語り掛けてくる。
「朽木はお月様みたいだ」
「それは『まるい』と云う意味でしょうか?」
あまりの言われ様に、最後の一個のお団子を無理矢理口へ押し込んで、私は黙り込みを決めた。
「月の様に透き通っていて、綺麗と云う意味だよ」
さらり と花瓶にたてた薄が風に遊ばれている。
団子が口を塞いで何も言うことが出来ない。
―いや、何を言えば良いのかわからない。
ずるいのだ いつも。
「朽木?喉に詰まったか?」
ついさっき、自分が言った事など大した事ないかのように、私の顔を覗き込むので
顔が赤いのは照れているのではなく、息苦しいから。
下を向くのは貴方の顔が見れないのではなく、団子を飲み込むのに必死だから。
そういう事にして、一気にお茶で団子を流し込んだ。
良い月夜だ。
そして、とんでもない月見だ 本当に。
助けを求めて月を見上げると、兎が ぴょこり と跳ねた気がした

何とか十五夜に間に合いました。
でも本当に月を愛でている人が居ないですね(笑)。
酒の力を借りないと口説けないへたれ浮竹隊長…
そしてもりもり団子を頬張るルキア…
…久々に文を書くと、文感覚が狂っているのを実感させられ痛いです。
多分兄様もルキアと二人きりでお月見する予定だったのでしょうか?残念(笑)。
白ルキ月見も書いてみたいです。
読んで下さり有難うございます。
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