聞き分けの良すぎる娘だと思っていた



私が歩を進めれば、黙ってそれに付き従い


私が何かを命ずれば、速やかに事をこなす



ただその瞳が、私を真っ直ぐにみることは無く、いつも、哀しげに伏せていた


ただ私を呼ぶ声に、僅かに震えが混ざっていた




しかしいつしか、



その瞳に、哀しみとは異なる、別の感情が混じるようになり


その私を呼ぶ声に、痺れる甘さを感じるようになった







聞き分けの良すぎる娘だと思っていた



そう、いいきかせていたのやもしれぬが、



こころの奥底に、気付かぬように、



気付いては、いけなかったのに




―嗚呼、もう後戻りはできない…




モット?

モドル?