ぼんやりと闇のなかに意識を漂わせていると
襖が開き、女中が数人はいってきた
「ルキア様 湯浴みの支度が整いましてございます」
「さ 御召し替えを」
部屋の中には白檀の香りに紛れるように
意味有り気な閨の残り香が潜んでいる のに
女たちは無表情で、私の身体を拭い
新しい間着を着せていく
まるで子どもが遊び散らかしたものを片付けていくように
そう 何も無かったように
この大きな罪悪の秘め事は
こうして機械的に処理されて
決して明るみには出ないのであろう
幾重にも 幾重にも箱の奥底に隠されて
情交の残りか
冷や汗か
ひとすじ 背中を雫が流れる
改めて 義兄を 恐ろしい と思った
モット?
モドル?