「…ルキア」
先程迄の熱がすっかり退いて、理性を取り戻した男は極めて冷静に女の名を口にする
決して
アイシテイル
なんて紡がないその口で
一方、女はそれきりなんて死ぬより恐ろしいことと怯え
男に一層強くその肢体を絡ませる。
「それでは冷える、着物を着ろ」
以前より女を扱うその仕草には僅かながらも優しさが混じるがしかし
それに対して女は以前とはまた違う恐怖に怯える
『永遠の愛なんて神でさえも手に出来ないのですね、兄様?』
エイエンなんて所詮理想論
真実を知ってしまったふたりは 今は まだ このまま ふたり で
ツカレテイタのだと思う
冷たい廊下から自室へと逃げるように身を滑り込ませた
襖を閉めてしまうと、深い暗闇の中に引き込まれる
疲れているのだ―だから
障子戸にぼんやりと映る月の光を頼りに、灯りを探す
雑音さえも気になって
「――緋真は
ひやり とした気配を感じ、振り返れば暗闇に浮かぶ女の顔
「…あ…」
かたかた…、と震える手で腰の刀に手を
お前の姉だ ルキア」
背中をひとすじ―雫が流れ
「―っあああああ!!」
がしゃぁぁんっっっ
深々と刃を突き立てると、一瞬苦し気に表情が歪んだ
散らばり落ちる鏡の破片に映るは自身か、それとも彼の女(ひと)か
「…ずるいです、緋真姉様―ッ…」
白哉兄様に ついた のはどちらか
「…こんなにも、お慕いしております―白哉、兄様…」
どれだけ涙を流しても
どれだけ血を流しても
どれだけ叫び続けても
行き先は闇
モドル?