がたん、ぐしゃり

何枚目かの書類が私の背の下で音をたてる


ばさり  ひらり、ぱさり

目の端に白い影が映り、手を伸ばしたけれど
空を翻った指は、ひとまわり大きな手に掴み取られた

「兄様…!」
「良い、気にするな」
「ですが…っ」


きしり

ふたり分の重みが執務机を鳴らす
身体の逃げ道を塞がれ、どうすることも出来なくなった


するり しゅる…

「このような場所で…」

手をとめない兄様に困惑の瞳を向けると、

「―一際、昂ぶるであろう…?」

びくり……



淫らな 音


私の身体を奏でる兄様によって紡がれる この場にそぐわない音が 私に拒むことをやめさせてしまうのだ







モット?

モドル?