兄様の大きな手が 私の髪を弄る

くすぐったくて 心地好くて されるがままにしていたら


欲情の熱さを纏った其の手が私の両の耳を すっかり覆って
真っ直ぐに向き合った兄様の 唇が言葉を形作るのに
全く 何も聴こえぬ 無音の映像



そして耳は塞がれたまま ぐい と顔を引き寄せられて
僅かな戸惑いに開いた唇へ 手とは比べ物に為らぬ程の熱を持った舌が侵入ってきて



「―!」


いつもとは違う 自分のなかに大きく響いた 接吻の音

脳内に 身体じゅうに 精神に
一音 一音 はっきりとした その淫らな響きに私は犯されて…





内なる情欲が 目を覚ます






「「ん…ぅ、兄…っ様…」」


己の篭った声さえも 色情の呼び水になるなんて―…








モット?

モドル?