あぁ、此れで何度目になるのだろう
ひいやりとした感触に顎を持ち上げられながら、ぼんやりと考える
ゆらゆらと刃に蝋燭の灯りが映る様を見ながら、こくり と空気を嚥下すると、咽喉に切っ先が僅かに食い込んだ
それが合図だったかの様に、刃が動き出す
咽喉元から鎖骨へ、そして夜着の合わせへ
滑る様に夜着の間を行く刀は、白いふくらみを暴き出した
ひとつ 鼓動がはねる
しかし、刀の行く手を遮ってはならない
これは 儀式 なのだ
兄様が私を己のものだと確認する為の
私が己を兄様のものだと確認する為の
このとき兄様がどのようなお顔で居られるか 私は知らない
見上げたが最期 言うことをきかない人形はいとも簡単に斬り捨てられるのだろう
生きるか死ぬかも貴方次第
モット?
モドル?