茶室の床に活ける花を選ぶために、庭へ降りた。


花鋏が、手の熱を奪っていく。




―さて、どの花が良いだろうと考えながら、辺りを見回す。


…ふと、目を引く色があった。


 深緑艶やかな椿の葉
 花は雪よりも真っ白で、まるで義兄を思わせた。

指先をツ…と白に添わせる。

思わず、白に赤の唇を寄せた時
…目の端に何かが映った。


―それは、一輪の侘助椿。


俯き、儚げに花開いているのに、その紅は見る者の心を揺らす。



気付くと、紅い花を護るかのように、純白の花の樹がその周りに生えていた。


ルキアは鋏を握り締めた。



―白哉兄様と緋真様の様だ…




―迷いもなく、紅を切った。



義兄は怒るだろうか、それとも静かに悲しむだろうか―


「―どうでも良いんだ…」

ルキアは空っぽな響きを込めて呟いた。



手の紅から、雫がぽとりと落ちた。




時間軸は兄妹和解前、和解後どちらでも。
ルキア受けになってないですが、そこは目をつぶって下されば助かります(笑)。

人間「どうでも良い」と思っていても、この言葉を口に出す程、どうでも良くなくなってくるものですよね。
(アレ?日本語が混乱してますね 笑)

何はともあれ、読んでくださり有難うございました。

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