襖の正面に座り、声を掛ける。

―「ルキアか、入れ」
声音は以前より柔らかになった。
だが一際、部屋の空気が張り詰めた。

…あぁ、今日も私を『なか』に入れてはくださらない―と目線を下に落とす。

貴方の声が『ききたい』

貴方の瞳の静けさの奥を『みたい』

貴方に『ふれてみたい』



「兄様」
呼び掛けを受け、襖の向こうに言葉を返す。

呼び寄せたのは自分だというのに、無意識に神経を尖らせてしまう。

この様なことでは、駄目なのだと解っているが…と瞼を伏せる。

御前に『ちかづきたい』

その黒髪、雪肌に『ふれたい』

御前の笑みが『みたい』




そう、詰る所『じぶんへのきもちがしりたい』のだ





ゆかし

(「ゆかしい」と同義)心ひかれ、そこに行きたいと思う意。
好奇心がそそられる。
見たい、聞きたい、知りたい、欲しいなどの気持ちを表す。
また、気品・情趣などがあり、どことなく心がひかれる様子も指す。
なつかしく感じられる。昔がしのばれる様子。







■マントを与えたり、虚圏へ行く手助けをしたり、頬染めてみたり、冗談言ってみたり、少しずつ距離が縮まってきている気もするこの義兄妹。
でも『義兄妹』って設定で、しかも今まで複雑だったので、何か少しでも、もやもやしていて欲しい!ってのが本音です(笑)。
この二人の気持ちが『更なる家族としての想い』なのか『恋の想い』なのかは、読まれた方の解釈にお任せします(きっちり防衛 苦笑)。