「白哉様は少々、お帰りが遅くなられるそうです」
そう使用人から聞いたのは半刻前



最近、兄様と揃って食事を摂るようになった
特に夕餉が済んだ後、お茶を飲みながら今日在った事、発見した事など色々な事を話す

最も、話すのは私が大半で、兄様はただ静かに頷いて下さるだけなのだが、私はこの時間がとても好きだった


兄様と同じ場所で同じ時を過ごす事が嬉しかった


今夜も例外ではなく、一緒に食事を摂ることを約束していた


約束の夕餉の時間からは、まだ少ししか経っていない

目の前の置時計をじっ…と見つめてみる
針はせわしなく、または緩やかに時を刻んでいく

長針が僅かに歩みを進め、震える度に口から軽く溜息が漏れる


流魂街にいた頃、恋次達とよく待ち合わせをした
不確かな約束であったが、半日待っていたとしても、こんなに苦にならなかった…

不思議なものだ、時計も無かったのに…



―はやく


針は時を刻むのに、彼の人は一向に戻っては来ない
時計の音に眉をしかめた


カシャンと小さな音をたてて、留金を外す

硝子の扉を開くと、さっきよりチクタク…と音が鮮明に聞こえる

秒針に気を付けながら、長針に人差し指を掛け、進めていく



はやく…はやく帰ってきて―

そう祈りを籠めて…時を進めた