朝の空に向けて吐く息が微かに白く曇り

日中でも時折 ぶるり と身震いさせられる程、秋深まってきた日のこと




「…非番だったのだが…」


伝令神機を切った途端、つい出てしまった白哉の言葉に、義妹は子どもを宥める母親の様に苦笑した。


事務的に飲み込んだ朝餉の味は微かに自覚した落胆によって掻き消されてしまった。



死覇装に隊長羽織を纏い、玄関にて振り返ると

「―大丈夫です、お気になさらないで下さい」

そう言って微笑むルキアに見送られ、屋敷を後にした。



一番隊舎へと続く道。
瞬歩 とまではいかないが、道程を行く早足は費やす時間が勿体無い とでもいう様な、微かな苛立ちを含んだものであった。

視界の端に映る 黄 橙 紅 の色が今は鬱陶しかった。



『―兄様、紅葉を、見に行きたいのですが…』

一昨日、白哉の部屋に訪れルキアはそう告げた。

『……ご都合が宜しければ、兄様もご一緒に……』

承諾の言葉を返すと、ルキアは ほっ とした様に微笑んだ。



ようやく時間を見つけたというのに、総隊長も浮竹並に間が悪い。

紅葉が舞うたびルキアの言葉が甦り、白哉は無意識に眉間に皺を寄せた。





総隊長の用件は何のことはない
提出書類に不備があり、早急に修正し、再提出せよ との事であった。


「些か、機嫌が悪かったの」

六番隊隊長の姿が見えなくなると、手持ちの杖で肩を叩きながら山本元柳斎重國は独りごち、
その隣で副隊長の雀部は緊張を解く為の重い溜息を吐き出したのだった。