名を呼ばれた気がしました
固く瞑っていた瞼をゆっくりひらきました
私を見下ろしている兄様の御顔が、直ぐ傍にありました
兄様の手が、私の目に留まっていた雫を絡めとっていきました
とても、やわらかなしぐさで
私は堪らなくなって
「…兄様、」
と口にしたのです
―すると、兄様は
酷く、傷付いた御顔をされました
先程まで、私を映していた筈の愛しみを湛えた瞳は
一瞬にして
暗く、深く 虚ろの色
―ついさっき、兄様に抱かれたのはだぁれ…?
少なくとも 兄様にとって、この からだ は ルキア ではなかった
モット?
モドル?