柔らかな鴇色は
みるみるうちに紅い炎に呑まれていく
それを見下ろす私の心拍は
驚くほど静かで
ほら、また袖の方にも
火が移って
そう、燃えて 無くなってしまえば良い
「白哉様からで御座います」
昨夜、女中がそう言って持ってきた帖紙に包まれた“それ”は
一目見て、判ってしまった
儚げで、やわらかな色のその着物は
私の為に選ばれたものでは無いことを
それももう、形無く炎に溶けてしまった
その揺らめく紅に跪いて
ゆらり と身を―…
無くなる“精神 こころ”
この顔が無くなれば、総て終わるのだろうか―…?
モット?
モドル?