帰って来た瞬間、違和感を感じた
表情、反応、匂い、気配―からは読み取らせないが、
…知っている
何故なら、私は“その状態”にあるこの娘を何度もみているからだ
「―っ兄様!」
強く腕を引かれ、戸惑いを口にする
其処から一番近い部屋に投げ入れ、帯に手を掛けると
「此処で…今から…?」
と僅かに震える声で問うてきた
「―不都合が有るか?」
意地悪く尋ねてやれば、沈黙
益々、苛立ちが湧き上がり
衣を肌蹴させると
…かさり、
小さな音に
私はぴくり、と眉を顰め
義妹は僅かに、息を呑んだ
着物のあいだから出てきたのは、紅に染まった葉
苛立ちが確信に変わり、
組み敷いた娘の声にならない叫びが聴こえた
色 鮮やかな密告者
それは残酷なほど―…
モット?
モドル?