藺草の香りが鼻に満ちる

直ぐ傍に居る方に助けを求めたいのに、羞恥から私は其れを拒む







厠から戻ってくると、雨乾堂によく知った霊圧がふたつ
茶を持って来てくれたのか と呑気な考えは、漂う異様な空気に消された


「んぅ…っ」

何かに耐えるようなくぐもった声と、
淡々と紡がれる言の音

がた、がた…ん、と時折 物に当たる音と、
何かが擦れる微かな音に

俺は、思考を一瞬、停止 させた




話がある と訪ねて来た白哉から感じた静寂の怒り

昨日 俺は朽木に、自分の想いを告げた


きっと“はなし”とは其れ だろうと
青い若者の様に、一旦 落ち着くために席を外せば、此の状況


昨日の、一瞬みせた喜びのあとに、絶望の影を滲ませながら
「少しだけ、お待ち頂けませんか?」と俯いた朽木の姿が思い出され、
何とか引手に手をかけたものの、俺はその障子を開けることが出来ない




目の前に広がるのは、『絶望』という現実


其れは「諦めろ」と言葉で云われるより、理解に容易い









モット?

モドル?