白哉“兄様”
私の口からでる其の言の葉は、
残酷なほどに現をまざまざと映し出す
「ん……」
確かあの人の手は、私に触れるとき 何処か ぎこちなく
「に…さ、ま」
それなのに繊細で神経質そうな冷たさと美しさをもっている
「、…ぁ」
其の指が、私の隅々まで触れるのを
私は想像の限り 描くことしか出来なくて
筆を持つ手
紙を捲る指
一昨日より少し伸びた爪
私の頬や頭に添えられる大きな掌
出来る限り、記憶を辿って
「―ッ、」
ほら、また今夜もそんな自分に嫌悪し
これは兄様ではない、自分ひとりという現実に絶望する
「兄、さま…」
私たちの立場は、儚く脆く薄いもので
だけれど私はその“兄妹”という壁を永遠に
破って、壊して、無くす ことは出来ないのだ
こんなに求めているのに、どうして
モット?
モドル?