淋しいのだと思った
少しでも慰めになればと考えた
水中で ゆら ゆらと美しく紅を揺らす金魚を贈った
しかし其れは、鯉が遊ぶ庭の池に放たれてしまった
義妹の部屋には、水も入っていない空になった鉢だけが残された
金魚は気に入らないのであれば、それなら と
桜色の羽が美しく、話しかければ歌で答える鳥を贈った
しかし其れも、庭の木から空へと解放たれてしまった
義妹の部屋には、留まるものが居なくなった宿木が虚しい籠だけが残された
何が気に入らぬ そう問うと
「憐れだと―まるで、自分を見ているようで」
自嘲気味に、しかし既に諦め切った声音がひどく私の胸を掻き毟った
数日後
池を悠々と泳いでいた金魚は
猫か鷺に襲われたのか、姿を消し
自由に大空を飛びまわっていると思われた鳥は
屋敷の庭の外れに、冷たくなっているのを庭師が見つけた
鳥
籠
奇
譚
愛でられるものは、護られていないと生きていけないということを
一番解っていないのは其れ自身なのだ
モット?
モドル?