文書を届けに来室した私を見た白哉兄様の目は、ひどく不快気に細められた
何か不手際があっただろうか、来室の機会が悪かったか などと考えていると、
突然、襟元を強く掴み引っ張られた
「!兄様っ、」
「何だ、これは」
触れた外気が刺激となって粟立つ 私の肌蹴た首元に兄様の指が、触れる
そういえば、其処は―…
「あの、これは…っ」
「言い訳など、聞かぬ」
寄せられた唇から、痛痒い刺激
「―誤解です 兄様、おやめ下さ…っあ」
「痕を残すとは、無粋な真似をする…」
強く吸われて、更に色付いた紅を舌先で撫でられる
「…私以外の者に身を許したか」
「ちが―っ、痛っ!」
首筋に兄様の歯が埋る
僅かに滲んだ血を唇が拭い去っていく
「痛みがなければ、仕置きにならぬ」
「――っ」
「…っ酷いです、兄様」
「………すまぬ」
私の発言が赦されたのは、話す息の余裕も無くなった…“事後”のことで
事の発端となった、私の首にあった“痕”の犯人は『蚊』であったことに、
白哉兄様は非常に極り悪そうな表情で「羽虫でも度し難い」と呟いたのだった
義兄の嫉妬は 虫も喰わない
モット?
モドル?