ころん からん ころん

さっき迄の賑やかさが嘘の様

闇に響くのは下駄の音のみ


篝火がぼんやりと辺りを映し出し、闇がぼやけている。

深い藍色地に撫子の花が咲いた浴衣の袖を翻し、その中を迷い無い足取りで進んで行く少女が一人。


からん ころん からん。

ルキアはふと立ち止まり、その存在を確かめる様に手に下げたものを掲げ、口角を上げた。






…我ながら何て間が悪いんだ、嫌になる。

浮竹は天井の木目を見つめ、深く溜息をついた。



体調を崩した為、一緒に行けないと告げた時の清音と仙太郎の落胆具合もさながら。
その二人の後ろで、少女が残念そうに眉を下げた顔が思い起こされる。

「看病します」と言い出した三人を気にせず縁日に出掛けるよう何とか追い出したものの…一人になった部屋は ぽかり と淋しかった。


考えてしまうと益々気が滅入るので、再び深く溜息を吐き出し瞼を閉じた。


熱の所為か、うつらうつら…と意識がぼやけてくる。